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農業高校からの国公立大学進学 涙がこみ上げた「農業高校生のための大学セミナー」

農業高校生のお受験体験記
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大学のオープンキャンパス

最近は、ほとんどの大学で学生募集の一環としてオープンキャンパスを実施しています。
早い大学では、6月くらいから始まるようです。

私も、農業高校の3年生だった息子と一緒に、2つの大学のオープンキャンパスに参加しました。

1つは、最終的に受験することを決めた北海道のO大学。
もう1つは、九州のT大学です。

オープンキャンパスの日ではありませんでしたが、それ以外にも、北海道に行ったついでに、札幌近郊のR大学、T大学のキャンパスも見てきました。

 

観光のノリ半分、自分本位の興味半分

スープカレー

今までのブログで書いたように、1校目のO大学のオープンキャンパスの時点では、私は、推薦入学のことも、農業高校の生徒が一般入試で合格することの難しさも知らない状態です。

なので、息子の付添いを理由に、半分は、

「北海道だったら、美味しいものも食べられるな。」

という観光のノリ。

もう半分は、

「普段も、そして、おそらく今後も、あまり接することがないだろう“農業大学”のキャンパスを自分の目で見てみたい。」

という、前向きではありますが、自分本位の興味からの参加です。

私たちが現役の受験生だった頃は、オープンキャンパスという制度は、一般的ではありませんでしたから、なおさら興味がわきますね。

でも、O大学のオープンキャンパスでは、息子以上に、私自身が、心を動かされることになったのです。

 

農業高校生のための大学セミナー

大学説明会

O大学の場合、オープンキャンパスは2日に分けて開催されました。

1日目は、次の日の一般向けオープンキャンパスに先立って、農業高校の生徒と親を対象にした「農業高校生のための大学セミナー」の日でした。

農業高校の生徒に向けた説明会を別枠で開催する大学は、珍しいのではないでしょうか?

残念ながら、O大学も、今年、2015年は、オープンキャンパスは1日となり、この中で「農業高校生向け説明会」が実施されるようです。

農業高校の生徒に向けた説明会を開催するようになったのは、この日、いろいろお話をしてくださったO大学のM先生が、とある農業高校の校長先生から、

「オープンキャンパスに参加していると、農業高校の生徒は、なんか浮いている感じがするんだよね。」

と言われたことがきっかけになっているとのことでした。

2日間、O大学のオープンキャンパスに参加してみて、

「浮いている感じ」

の意味、自分なりに考えてみることにしました。

 

推薦入学を考えている生徒や親が聞きたいこと

この大学の畜産学部は、農業高校の現役卒業生のために推薦入学枠を持っています(当然、これも、後々知ったことですが)。

まず、この推薦入学枠を利用して、入学をしようとしている高校生とその親にとっての、一番の関心事は、

「受験の際の論文試験・面接試験で問われることは?」

だと思います。

それに続く心配事として、

「入学後、学業のレベルについていけるのか?」

です。

この関心事、心配事に対して、O大学のポリシーや推薦入学の制度、合格後の受け入れ体制など、いろいろ説明いただきました。

 

大学のポリシーや論文試験・面接試験で問われるであろう本質については、以下の記事に書いています。

農業高校からの国公立大学進学 小論文試験・面接試験で問われる本質とは?
自分が志望する大学のポリシーは一読を。 大切なのは、「人からの受け売りではなく、自分の体で体感したこと、自分の頭で考えたこと、自分の心から湧き出す思い。」

 

普通科高校生との学力差を補う大学の制度については、以下の記事に書いています。

農業高校からの国公立大学進学 学力不足を認識し努力すれば大丈夫
大学の講義のレベルを体感できる、模擬授業や生物学実験の時間も用意されていました。 学力不足を認識して、しっかり努力すること。 特に1回生のときは踏ん張りどころです。

 

心を打たれたM先生の話

大学の制度や体制の話に続き、私が一番心を打たれたのは、M先生の次の一言でした。

 

「うちの大学は、農業高校生を "宝" だと思っている。」

 

この一言には、私自身、胸が熱くなり、涙がこみ上げました。

 

世間一般から見ると、農業高校やそこに通う生徒のステータスは、決して高いとは言えません。
それは、ある一面的な物差しである"偏差値"で、ものごとを見た場合の話です。

でも、この大学は、"学生の多様性"に価値を感じてくれているのです。

このことに関して、M先生は、

「普通科の生徒は、進学のために一般の教科を勉強しています。」

「農業高校の生徒は、普通科の生徒が勉強している間に、作物や家畜に関する実習をしています。」

「当然、農業高校の生徒の学力は、普通科の生徒に比べて不足しています。このことは、大学もちゃんとわかっています。
でも、農業高校の生徒のみなさんは、農業の授業や実習を通して、普通科の生徒にはない"問題意識"をすでに持っているはずです。
大学に入ったら、その"問題意識"に対して、一生懸命勉強して、取り組んでください。」

「逆に、普通科高校の生徒は、高校で身に着けた十分な基礎学力をベースに、大学に入ってから、この"問題意識"を持ち、同じように取り組みます。」

と話されました。

 

これと近い内容が、以前のブログでも紹介した「銀の匙」にも出てきます。

進学校の中学校から大蝦夷農業高校(エゾノー)に入学した八軒勇吾の友人の間で、農業の話題になるとすごくハイレベルな話が飛び交うシーンです。

 

私は、この

「実習や農業の専門科目を通して、自分なりの"問題意識"を持っていること。」

が、推薦入学枠の本質的な意義のひとつだと理解しました。

 

あれから1年

このオープンキャンパスから、1年が経ちます。

このブログを書き始めたのも、

「あれから1年。そろそろ書き始めないと。」

の思いからです。

私自身は、我が家のお受験は、M先生のこの一言から始まったと思っています。

 

息子もこのオープンキャンパスをきっかけに、1回きりの推薦入学のチャンスをO大学にかけることに決めたようです。

息子がO大学に決めた理由は、

「キャンパスを歩いている先輩が、かっこいいやん。」

でした。

トホホ...(涙)。

 


「農業高校生のお受験体験記」一覧を見る。

 

※ 「銀の匙」は、必読のコミックだと思います。

 

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