魚を丸呑み! posted by (C)je5xkd(徐々に復活中)
はじめに
この記事を読んで頂いてありがとうございます。
はじめに注意があります。
この記事を含め、以下の2つの記事は、大学の推薦入学の日程に間に合うように急いで書き上げました。
なので、それぞれの記事のボリュームも多く、また、図や例を使って説明すべき部分も文章だけで説明しているので、わかりづらくなっています。
近いうちに時間を作って書き直そうと思っていますが、それまでは、現行の記事から私の意図を読み取って頂けると幸いです。
また、合わせて、息子の論文や面接での実例やエピソードを書き加えて、この「農業高校生のお受験体験記」シリーズの完成度を上げたいと思っています。
引き続き、よろしくお願いします。
面接試験を楽しむために
いくらリラックスを心がけても、本番の面接試験は、多少なりとも緊張するのではないでしょうか?
むしろ、ある程度の緊張感があった方が、以下の記事で書いたテンポ感の良い「言葉のラリー」ができると思います。
今回の記事では、面接試験の「空気」に飲み込まれず、あなたにとっても、面接官にとっても、面接試験を充実した楽しい時間にするためのコツを書きます。
面接試験の当日までの「準備編」
まずは、面接試験の当日までにやっておく準備をまとめておきます。
面接試験で質問されるテーマとその答えを「イメージ」しておく
当然、先生や親を面接官に見立てての事前練習はすると思いますので。すでに面接試験で質問されそうなテーマやそれに対する答えは、事前に想定されていると思います。
面接試験で質問されそうなテーマとしては、以下のような内容が考えられます。
- 高校生のときのこと
自分が一生懸命に取り組んできたこと。
部活動や研究プロジェクトなどの内容やその成果。
- 志望する大学のこと
この大学に入ろうと思った志望理由。
大学に入って学びたいこと、やりたいこと。
この大学の印象。
- あなた自身のこと
将来の夢や職業。
普段から心がけていることやポリシー(座右の銘)など。
最近、関心を持ったニュースや時事ネタなど。
上で挙げたようなテーマを参考に、
「このテーマやジャンルの質問が来たら、こんなことをこんな感じで答えよう。」
というイメージを用意しておきましょう。
このとき、自分の答えを「長い文章」にしたり、面接官とのやり取りを想定した詳細な「シナリオ」を作ったりしがちですが、あくまで「イメージ」として用意しておくのがポイントです。
以下、このポイントをいくつかの例を交えて説明します。
写真や動画のような「イメージ」にしておく
最初のポイントで言いたいことは、質問されたテーマに対する答えを
「長い文章にしない。」
ということです。
例えば、
あなたが、高校で一所懸命に取り組んだことを話してください。
という質問を想定したとき、以下のように「長い文章」にして、丸暗記しないことです。
高校に入学してすぐに、どの部に入部するかを考えました。動物の飼育にも関わることができる酪農研究班か発酵食品について実習を通して学ぶことができる食品加工班か悩んだ挙句、子供の頃からお菓子や料理を作ることが好きだった私は、食品加工班に所属することにしました。
…(途中略)
3年生になる際、自ら食品加工班の部長に立候補し、乳酸発酵を利用した新しい加工食品の開発プロジェクトに尽力しました。
…(途中略)
3年生の夏には、研究成果を県大会で発表し、準優勝を果たしました。
では、どうするかですが、上で書いたような文章を覚える代わりに、画像や動画として頭に思い描いて「イメージ」するのです。
上の例で言うと、以下のように、いくつかの場面やシーンを映像として「イメージ」します。
- どの部に入部するか悩んでいるシーン。
- 子供のころ、お菓子や料理を作って楽しんでいるシーン。
- 3年生になるときに、部長に立候補するために挙手をしているシーン。
- 県大会で研究成果をプレゼンしているシーン。
- 準優勝の表彰状を受け取っているシーン。
「長い文章」ではなく「画像でイメージ」する理由は、以下のとおりです。
- 「長い文章」で丸暗記した場合、文章の終りの方の内容を引っ張り出すには、文章の最初から順につないでいく必要がある。もし、本番の面接試験の緊張感で、文章のある部分で詰まると、その先が出てこなくなる。
バラバラの「イメージ」で頭に描いておくと、面接官の質問に応じて、その都度、適切な「イメージ」を瞬時に引っ張り出せる。 - 「長い文章」で丸暗記すると、質問に対する回答がだらだらと長くなりがち。
「イメージ」だと、手短かな文章に変換して回答しやすい。
別の例でもやってみましょう。
あなたは、本番の面接試験をどんな雰囲気にしたいですか?
という質問(テーマ)を想定したとき、別の記事で書いたように、私は、「卓球のラリー」をイメージしました。
よく、言葉でのコミュニケーションを「キャッチボール」に例えられますが、面接試験で交わされる質疑応答のテンポは、私の頭の中では、「キャッチボール」より「卓球のラリー」のテンポに近いのです。
(もし、あなたの「イメージ」が、「キャッチボール」に近いのなら、そちらをイメージしてください。)
さらに、もう一つ、私がイメージしたのが、この記事の冒頭の「ペリカンが魚を丸のみにしている」画像です。
もちろん、私(受験者)は、丸のみされている「魚」ではなくて、「ペリカン」の方です。
「魚」は、面接試験会場の「空気」であり、私(受験者)に、いろいろ質問してくる「面接官」のイメージです。
本番の面接試験では、この「ペリカン」のイメージを、面接会場のドアを開けるときに頭に浮かべるのです。
また、面接会場に入り、自分の名前を名乗った後、着席する際に、「卓球のラリー」の動画を思い浮かべ、臨戦態勢に入るのです。
どうですか?
画像や動画の「イメージ」の方が、「長い文章」より、効果ありそうでしょう?
「イメージ」と自分の「感情」や「感覚」を結び付けておく
さらに効果的なのは、頭に思い描いた「イメージ」と、自分自身の「感情」や「感覚」を結び付けておくことです。
先の、「食品研究班の活動」の例で言えば、
- 準優勝の表彰状を受け取っているシーン。
に、そのとき感じた「めちゃくちゃ嬉しかった!」という「感情」を結び付けます。
場合によっては、「表彰状を受け取っている」イメージを、その時に感じた「喜び」に合わせて、「表彰状を受け取って、ガッツポーズをしている」イメージ(実際には、やっていなくても)に変えてもいいでしょう。
結び付けるのは、「マイナスの感情」だって構いません。
「新しい発酵食品の実験がうまく進まず、落ち込んでいた。」
という苦労があったのなら、そのときの「感情」が生々しく思い浮かぶように、
- 夜の実験室で、腐ってしまった実験食品を前に、部員全員が頭を抱え込んでいるシーン。
をイメージするのです。
そのイメージに、実験室に充満した「異臭」を結び付けても構いません。
要は、イメージしたシーンに「感情」や「感覚」を結び付け、できるだけ「リアリティ」を持たせるのです。
「イメージ」に「感情」「感覚」を結び付けるのは、以下の効果があります。
- 質問に対して答えを返す際に、「イメージ」と同時に、そのシーンの「感情」や「感覚」も一瞬で思い出せる。
- 質問に対する答えに「感情」や「感覚」の要素を交えると、自ずと自分自身が直接感じたことを話すことになり、その答えに「リアリティ」や「迫力」が増す。
どんなに詳細な「シナリオ」を考えても、そのとおりには進まない
本番の面接試験は、あなたと面接官の質疑応答の掛け合いです。
つまり、面接の主導権の半分は、相手の面接官も握っているわけですから、本番前に考えた「シナリオ」どおりに、面接は進みません。
ここで言う「シナリオ」とは、
- 面接官がこんな質問をしたら、この答えを返そう。
- 私がこう答えたら、面接官は、次にこんな質問を重ねてくるだろう。
- そうしたら、私はこう答えてやろう。
といった、質疑応答の展開や筋書きのことです。
「卓球のラリー」に例えると、
- 面接官がどんな質問(サーブ)をしてくるかは、わからない。
- 自分が、どんな良い答え(レシーブ)を返しても、面接官が次にどんな反応をするか(どのコースにどんな球を返してくるか)は、わからない。
わけですから、どんなに素晴らしいゲーム展開を考えても、そのとおりに試合が運ばないのと同じことです。
ある程度の質疑応答の流れを想定しておくことは大切ですが、必要以上に「シナリオ」を練り、その「シナリオ」に沿って、ガチガチに面接試験の練習をするのはおすすめしません。
それよりも、
- いかにたくさんの「イメージ」を頭の中にストックしておくか。
- 面接官の質問に応じて、ストックしておいた「イメージ」の中から、いかに適切な「イメージ」を引き出すか。
(トランプに例えると、いかに手の良いカードを切るか?) - 引き出した「イメージ」をいかに簡潔で的を得た文章に変換するか。
- さらには、いかに面接官の心に響く、感情のこもった文章に変換するか。
のトレーニングをする方が、本番での応用が効くと思います。
トレーニングは、
- 自分一人でやる自主練習
- 先生や親、友達に協力してもらっての実践形式練習
の2つを組み合わせましょう。
自分一人でやる自主練習では、以下のように、まずは、自分が面接官になり質問を投げかけ、次に、受験者の立場で、その質問に答える、「一問一答形式」のやり取りを「千本ノック」のようにひたすら繰り返します。
このとき、
- 質問のテーマは、毎回ランダムに変えても、関連性のある質問をいくつか重ねても構わない。
- 返答は、ストックしている「イメージ」の中から適切なものを瞬時に頭に思い浮かべ、質問に合った文章に変換して、手短に答える。
ことに留意してください。
高校の実習で、一番きつかったことは?
夏場の牧草の栽培や刈り取りです。
高校生活で一番楽しかったことは?
修学旅行です。皆でやったスノーボードが思い出に残っています。
将来の夢は?
両親がやっている牧場を継ぐことです。
どんな牧場にしたいですか?
うちの牧場から出荷した肉牛の肉質が、市場で高く評価されるような牧場にしたいです。
どうやって、肉質を向上させるのですか?
牛の状態は、毎日変わります。牛の状態に応じて、餌のブレンドを変えるのが大切なことだと考えています。
最近のニュースで気になったことは?
TPPが大筋合意をしたことです。
TPPの大筋合意に関して、どんなことを考えましたか?
「うちの牧場経営も大きな打撃を受けるな。」ということです。
面接試験での「発声」を確認しておく
面接試験は、10分~15分程度の短時間決戦です。
なので、面接が始まるときの「雰囲気作り」が肝心です。
面接会場に入って、一番最初にすることは、自分の氏名や高校名を名乗り、挨拶をすることです。
面接をうまく始めるポイントは、この自分の氏名や高校名を名乗るときの「発声」にあります。
「発声」を分解すると、
- 声の大きさ
- 声の高さ(トーン)
- 声の速さ(テンポやリズム)
の3つに分けられます。
以下の要領で、自分に一番ピッタリくる「発声」を確認し、毎回、この「発声」で面接冒頭の挨拶ができるように練習をしておきましょう。
1.声の大きさ
面接官に聞こえないほど小さな声は論外ですが、必要以上に大きな声で話すこともありません。
「部屋に十分響き渡る」レベルが目安になります。
2.声の高さ(トーン)
一番適切な声の高さ(トーン)は、自分の体(胸やお腹)に共鳴して、気持ちよく響く高さが最適です。
自分の名前を連呼しながら、声の高さ(トーン)を変え、自分の体に共鳴するポイントを探しましょう。
3.声の速さ(テンポやリズム)
面接試験全体のテンポは、あなたが発する第一声の速さ(テンポやリズム)で決まります。
なので、あなたに一番しっくりきて、あなたが一番戦いやすい速さ(テンポやリズム)を決め、毎回、その速さで
「□□高校から来ました、○○○○です。」
の挨拶ができるよう発声練習します。
面接試験の「本番編」
面接試験の本番でやることは、これまでに準備をしてきたことを実践するだけです。
冒頭の挨拶
面接官(正面の一人で構いません)の目を見ながら、事前に確認しておいた「発声」、
- 声の大きさ
- 声の高さ(トーン)
- 声の速さ(テンポやリズム)
で挨拶をし、面接試験の口火を切ります。
着席のとき
今から始まる「卓球のラリー」の動画をイメージします。
質疑応答
質疑応答がテンポよく進むよう、
- 面接官の質問を正しく理解する。
- 面接官の質問に正しく手短に答える。
ことに意識を向けるだけです。
ここで、皆さんに伝えたいことが2つあります。
答えに困ったときは?
想定外の難しい質問(テーマ)が投げかけられたときや、同じテーマに関して次々と質問が重ねられてきたような場合は、どうしても答えに窮する場面が出てきます。
そのときは、無理に答えをひねり出すのではなく、少し間をおいて、
その質問は難しすぎるので、わかりません。
今の自分のレベルでは答えられません。
わかりません。大学に入ったら、今の質問に答えられるよう勉強します。
といった、いくつかのパターンを選んで、「ギブアップ宣言」をしましょう。
少し間をおくときに、「なにか深く考えている風」の演技をはさむと効果的です。
圧迫面接
面接試験に「圧迫面接」の要素を取り入れている大学もあります。
ちなみに、息子の話を聞くと、O大学は、この「圧迫面接」を取り入れていると思います。
「圧迫面接」とは、面接試験中に、面接官が、
- 受験生の話をあえて無視する。
- 受験生の回答にいちいち揚げ足をとる。
- 受験生の考えや意見にとことん反論する。
といった行為で、受験生に過度のプレッシャーを与える手法です。
「圧迫面接」の要素を取り入れる目的は、
- 受験生のストレス耐性を見る。
- ストレスがかかった状態での受験生の対応力を見る。
といったところでしょうか?
なんの心構えもなく、いきなり「圧迫面接」が始まると、さすがにビビりますよね。
でも、ここは、以下の点に留意して、冷静に乗り切りましょう。
あなたは、「魚」ではなく、その「魚」を丸のみする「ペリカン」ですから。
悪役が決まっている
「圧迫面接」を仕掛けてくる「悪役」の面接官は、事前に決まっています。
以下の点に相当する面接官は、「悪役」の可能性が高いです。
- 一番年長者、もしくは強面。
- 面接会場に入ってから、一度も目を合わさない。
- 冒頭の挨拶をしても、ニコリともしない。
面接官全員が「悪役」ということはありません。全員が「悪役」だと、面接が成立しませんからね。
なので、他の面接官と対比して、明らかに上記の傾向が見られる面接官は、「悪役かも?」と最初からマークしておきましょう。
面接官になる先生が、このブログを読んで、
「ようし。それなら。」
と、最初はニコニコして油断させておいて、途中で「悪役」に豹変ということもあるかもしれません。そんな高度な作戦に出られたときは、ごめんなさい。
いずれにしても、「悪役」の面接官は、その役を演じているわけですから、普段は優しい先生だと思います。
面接の間も、面接が終わっても、その「悪役」の面接官のことは、広い心で許してあげましょう。
息子は、「悪役」のことを「ボスキャラ」と言っていました。
「ボスキャラは、最初からニコリともしないんよ。」
「でも、最後は、下を向いて、必死に笑いこらえてた。」
そうです。
とにかく球を返す
「卓球のラリー」で言うと、「圧迫面接」の面接官の応対は、ピンポン玉の代わりに、砲丸投げの鉄球を打ち込んでくるイメージでしょう。
でも、とりあえず、打ち込まれた鉄球は、相手に打ち返す必要があります。
なぜなら、あなたの「ストレス耐性」や「ストレス状態での対応力」を見られているわけですからね。
このときも、心がけるのは、以下の2点です。
- 面接官の質問を正しく理解する。
- 面接官の質問に正しく手短に答える。
鉄球でラリーを続けるのは、「悪役」の面接官にとってもエネルギーが要ることなので、とにかく球を返し続けることです。
鉄球のラリーで返球するときは、ピンポン玉より長い間を使っても構いません。
その間を使って、あれこれ考え、意外な返球をしてみてください。
あまり力まず、肩の力を抜いた「拍子抜け」するような回答をするのがコツかもしれません。
どうしても行き詰ったら、先に書いたように「ギブアップ」するのも手です。
まとめ
今回は、面接試験に向けての準備や、本番の面接試験のコツを書きました。
面接試験で見られるのは、あなた自身の
- コミュニケーション能力
- 視野の広さ
- 思考力や論理力
- その場での対応力
辺りだと思います。
もちろん質問に対する答えの中身も問われるでしょうが、それよりも、上で書いたスキルを見られていると思って、あまり答えの中身に神経を使うよりは、
「私、上手く球を返せてる?」
に気を配った方がいいですね。
面接試験の「言葉のラリー」は、勝負事ではないので、勝ち負けはありません。
なので、ラリーに行き詰ったら、一度「ギブアップ」することも許されます。
何度も言いますが、面接試験は、受験生のあなたと面接官が対等な立場で、限られた時間に、できるだけたくさんのラリーの応酬をすることが大切です。
今回は、長い記事になりました。
この記事に書いたことを参考に、本番の面接試験では、「言葉のラリー」を存分に楽しんでください。
皆さんの受験が、成功することを祈っています。
「農業高校生のお受験体験記」一覧を見る。
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