農業高校の生徒は本当に"問題意識"を持っているのか?
上の記事で、M先生の話として、
「農業高校の生徒の強みは、実習や農業の専門科目を通して、自分なりの”問題意識”を持っていること。」
と書きました。
でも、
「農業高校の生徒は本当に"問題意識"を持っているのでしょうか?」
というわけで、大学生になった息子に聞いてみました。
オープンキャンパスのとき、農業に対する"問題意識"というか"課題意識"持ってた?
いいや。持ってなかったよ。
うちと違って、実家が農業やってる子は持ってたんかな?
「こんな働いてるのに、なんで儲からんのやろ?」とか。
北海道の農家の子の話聞くと、大規模で機械化されてるからしんどくないし、儲かるらしいからな。
そうか。儲かるんや。
やっぱ、"問題意識"なんか持ってないんかな?
僕もオープンキャンパスのときにはなかったけど、「農業白書」読んでからは、"問題意識"持つようになったかな。
食料・農業・農村の現状と課題を知る
息子の言っていることは、大半の生徒にとっては、確かにそのとおりかもしれません。
高校3年生の段階で、自分の未熟な経験や知識をベースに、はっきりとした"問題意識"や"課題意識"を持っていることの方が違和感があります。
結局、受験対策の見地から「食料・農業・農村白書」を読むことの意味を整理すると、
食料・農業・農村に対して、
- 統計データ、表やグラフを通して、現状を知ること。
- その現状から、問題や課題を認識すること。
- 問題や課題に対する具体的な取り組みを知ること。
と言い切って良いと思います。
「家畜飼料の自給率」を例にすると
もう少しわかりやすく説明するために「家畜飼料の自給率」を例に話してみます。
題材として、いつものように農林水産省のホームページを参考にします。
今回は、以下のページを引用します。
上のページを読むと、家畜飼料の「現状/課題/取り組み」がきちんと整理されていますね。
【現状】
- 粗飼料と濃厚飼料を合わせた飼料自給率は25%(2007年度)。
(粗飼料の自給率は78%、濃厚飼料の自給率は25%)【課題】
- 2015年度に、粗飼料と濃厚飼料を合わせた飼料自給率を35%まで上昇させる(目標)。
⇒ 自給率10%アップが課題になる。【取り組み】
- 水田の活用(耕畜連携)
- 集約放牧(酪農)
- コントラクター
- TMRセンター
- エコフィード等未利用資源
- 青刈りとうもろこしの拡大
- 皇位生産性草地への転換
- 耕作放棄地の活用(繁殖牛放牧)
「食料・農業・農村白書」の読み方
結論を先に言うと、「食料・農業・農村白書」は、以下のとおり2回読めば十分だと思います。
1回目は全体を見渡す
上で説明したのは、「家畜飼料の自給率」の例でした。
同じように、「食料・農業・農村白書」には、日本の食料や農業に関して農林水産省が意識している様々な課題が列挙されています。
1回目は、この個別の課題の詳細に入り込むのではなく、あくまで高い位置から日本の農業の全体像を見渡すつもりで読むのが良いと思います。
「なるほど、外国と比べると日本の農業が置かれているポジションは、この辺りなんだな。」
とか、
「国は、日本の農業をこっちの方向に持っていこうとしているんだな。」
といった感じです。
「木を見る前に、森を見る。」
ということですね。
2回目は数字や自分の考えと結び付けて
1回目の読み込みで全体像を理解したら、2回目は、それぞれの項目について、「現状/課題/取り組み」を意識して読みます。
書かれている統計データ、表やグラフの概要もきちんと理解しましょう。
この理解は、以下の記事で書いた「表やグラフに慣れ親しむ」ことにもつながります。
ポイントと思われる数字は、おおよそのイメージでも良いので、頭に入れておきましょう。
「2014年度のカロリーベースの食料自給率は、前年度と同率で39%」
といった数字です。
「カロリーベースでみた自給率は、おおよそ40%だったな。」
「前年度と変わらなかったよな。」
というような"感覚"や"イメージ"が大切です。
"数字"そのものを覚えるよりも、"棒グラフの高さ"とか"折れ線グラフの傾き"といった、"ビジュアル"が目に浮かんで来れば大丈夫です。
もう一つ大切なことは、白書に書かれている"課題認識"や"取り組み"を自分の考えと結び付けて読むことです。
「確かに、この考え方は、自分が目指している酪農の方向性と合っているな。」
とか、
「白書には、この取り組みが効果的と書いてあるけど本当かな?」
「自分だったらこうするけどな。」
というふうに、自分自身の意見や考えと照らし合わせながら読むと、頭にも残りやすく、結果、小論文試験や面接試験での対応力が向上します。
「白書のページの"ビジュアル"が目に浮かぶように。」
「自分の意見や考えと照らし合わせながら。」
「農業高校生のお受験体験記」一覧を見る。
※ その年の「食料・農業・農村白書」の最新版は、7月頃に発行されるようです。
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