学力不足
上の記事で書いたように、O大学のオープンキャンパス1日目は、農業高校の生徒と親を対象にした「農業高校生のための大学セミナー」の日でした。
この中で、M先生は、農業高校の生徒の学力不足についても、きちんと指摘してくださいました。
農業高校から推薦入試で入学する生徒と、普通科から一般入試で入学する生徒の学力差は、大きな課題です。
模擬授業や生物学実験も
農業高校の生徒に、大学の授業のレベルを事前に伝える意味で、この日は、M先生の模擬授業や生物学実験の時間も用意されていました。
生徒は、学力不足とそれを補う必要性を感じるはずです。
「大学も農業高校から入学する皆さんの学力不足はわかっています。特に、1回生のときが大変です。」
息子と一緒に聞いた模擬授業では、”遺伝子解析 PCRによるDNA断片の増幅”の講義を受けました。
素性のわからない遺伝子を培養・増幅し、遺伝子データベースを検索して、その遺伝子を特定するという内容でした。
「入学したら、2回生の専門課程では、このレベルの講義になるから、ちゃんと予習・復習しないとついてこれなくなるよ。」
私自身も、模擬授業とはいえ、久しぶりの大学の講義なので、タイムスリップしたようで、新鮮でした。
生物学実験は、生徒だけの参加でした。
魚のホッケに寄生する寄生虫を観察する内容だったようです。
一人、学内を見て回るとき、たまたま、廊下から様子が見えましたが、こちらは、生徒たちも楽しそうに模擬授業を受けていました。
M先生からの
「単なる憧れではなく、大学進学の目的と意志の確認はできているか?」
「それに対して行動しているか?」
「しっかり努力すれば、入学後も心配ない。きちんと成果は出るよ。」
というメッセージは、きっちり伝わりました(少なくとも、親の私には)。
大学独自のサポート体制
学力不足で入学してくる農業高校生のために、O大学では、以下のような、独自のサポート体制が用意されています。
- 合格したら、入学までに高校の参考書と問題集、テスト問題が送られてくる。
- 入学後は、「ピアサポート」という、上級生チューターによる援助がある。
- 農業高校から入学した生徒が必ず受講しないといけない、高校補習教育的な講義がある。
1は、入学までに、高校の勉強の復習をさせることと、学生それぞれの学力レベルを把握することが目的です。
2は、いわゆる、上級生によるキャンパス内”家庭教師”です。上級生チュータへの報酬は、大学が負担してくれます。
上級生チュータは、きびしい一般入試で入学した普通科高校出身者で、しかも、それぞれの得意科目を受け持つため、とてもレベルが高いそうです。
3は、農業高校生の学力に合わせた高校教育を補習する内容の講義で、この講義をきちんと受講し合格点を取れば、単位も取得できます。
ただし、課題の量は半端ないそうです。
息子は、入学後、フウフウ言いながらも、上記、大学が用意してくれているサポート体制のもと、なんとか講義について行っています。
よく考えられたシステムだと感心します。
オープンキャンパスや説明会では、このような大学のサポート体制についても確認しておくと良いと思います。
専門課程に入ると逆転のチャンスも
高校で専門科目や実習の多い農業高校生は、1回生のときは、学力不足のためにかなり苦労するようです。
2回生に進み、専門課程が始まると、逆に、専門知識や実習現場で身に着けたスキルの出番が増え、普通科高校生より有利になってくる場面も。
とにかく、1回生のときは、大学が用意してくれているサポート体制を活用したり、農業高校出身の同級生や先輩とうまくネットワークを作って助け合ったり、とにかく踏ん張りが必要な時期です。
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