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トイファクトリー「TOY'S BOX 470H」のリチウムイオンバッテリー化を考える

キャンピングカー
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「TOY'S BOX 470H」のリチウムイオンバッテリー化

以下の記事でも書いたように「TOY'S BOX 470H」の標準サブバッテリーは、「POWERSONIC PS-121000」という鉛バッテリーです。

最近は、キャンピングカーのサブバッテリーにリチウムイオンバッテリーが採用されることが多くなってきました。
しかし、トイファクトリーさんのオプションには、「TOY'S BOX 470H」のサブバッテリーを標準の鉛バッテリーからリチウムイオンバッテリーに置き換える設定がありません。
今後もトイファクトリーさんからは、「TOY'S BOX 470H」に対し、リチウムイオンバッテリーのオプションが設定されることはないと思います。

「キャンピングカーの快適さは、停車中にいかに自由に電気を使えるか次第」

なので、この記事では、独自に「TOY'S BOX 470H」のリチウムイオンバッテリー化を考えてみます。

後日、以下の記事でも紹介したように、2024年の2月の「ジャパンキャンピングカーショー2024」で「TOY'S BOX 470」のモデルチェンジが発表されました。新しい「TOY'S BOX 470」は、クールコンプシステムが搭載可能なので、サブバッテリーも鉛バッテリーからリチウムイオンバッテリーの「SUPER B」にアップグレードできる仕様になっているかも知れません(あくまで私の推測です)。

最初に結論

2024年6月3日にEcoFlowさんから「EcoFlow Alternator Charger」が発表されました。
これを受けて、この記事の結論を含め、私のリチウムイオンバッテリー化の方針を大きく変更しました。
この記事とあわせて、以下の記事にも目を通してください。

最初に結論を言うと、私の場合は、以下の順序でリチウムイオンバッテリー化を進めようと思います。

  1. 「EcoFlow DELTA 2 Max」を購入し、使える電気容量を増やす。
    同時に「EcoFlow Alternator Charger」も購入し、「EcoFlow DELTA 2 Max」を急速走行充電する。
  2. 標準のサブバッテリー(鉛バッテリー)の交換時期が来たら、自己責任でリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換える。

私がこう考えた理由を知りたい方は、ちょっと込み入った話になりますが、この後の内容を読んでください。

改めて注意喚起しておきますが、リチウムインバッテリーやポータブルバッテリーを車に積み込んだり、電装回路をDIYすることは、火災のリスクが伴います。
トイファクトリーさんから出ている「お願い」のとおり、まずは、キャンピングカーのビルダーさんに相談するのが良いと思います。

再び「トイファクトリー 湘南」へ

「TOY'S BOX 470H」を注文してから5ヵ月が経ち、最終の仕様打ち合わせの時期になりました。
再度、「トイファクトリー 湘南」へ行ったついでに、展示車を確認させてもらい、バッテリー環境の強化策を考えます。

「TOY'S BOX 470H」の電装室

まずは、展示車の「TOY'S BOX 470H」の電装室を見てみます。

電装室の扉を開けても、電装機器のすべての配線は見えませんでした。
以下の写真からすると、オルタネーター「ディストロボックス」サブバッテリーインバーターが、家具の隙間をうまく使ってシンプルに配線されているようです。

サブバッテリーの横に見える、カラフルなヒューズがたくさん付いているコントローラーは、イタリアの「CBE社」の製品で、トイファクトリーさんは「ディストロボックス」と呼んでいます。
「ディストロボックス」は、トイファクトリーさんオリジナルの「ディストロシステム」を構成する電装部品の一つです。

「ディストロシステム」は、トイファクトリーさんのキャンピングカーの装備を示すアイコンで、以下のように説明されています。

「CBE社」は、キャンピングカーの電装システムなどの開発/設計/製造を請け負っているようなので、トイファクトリーさんのキャンピングカーの特徴である「オールインフォメーションボード」も含めて、トイファクトリーさんから委託を受けて作っている「CBE社」のカスタムシステムだと思われます。
「CBE社」のカスタマー紹介のページにもトイファクトリーさんのロゴがあります。

インバーターは、株式会社未来舎さんの「PowerTite」が採用されています。
私は、1,500Wのインバーターを選択しましたが、展示車のインバーターは、350Wのものが取り付けられていました。

サブバッテリーをリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換える案

まず考えられるのが、「TOY'S BOX 470H」の標準サブバッテリー「POWERSONIC PS-121000」を、自己責任でリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換える案です。

最近は、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)のサブバッテリーが簡単に入手できるようになりました。
バッテリーの正極にNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)を使用した三元系リチウムイオンバッテリーに比べ、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)のバッテリーは、高温環境での安定性が向上しているため比較的安全性が高いと言われています。
とは言え、エネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリーをキャンピングカーに搭載することは危険を伴いますので、安易なDIYはお勧めしません。

また、リチウムイオンバッテリーを低温下で充電すると、リチウム金属析出が起こり内部短絡する危険性があります。
キャンピングカーの場合、5℃を下回る環境で停車/走行することも頻繁にあるので、この点は要注意です。
なので、私ならヒーター機能を備えたタイプを選びます。

100Ahの容量のものであれば、「POWERSONIC PS-121000」とほぼ同サイズのリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーもあります。
おそらく、「TOY'S BOX 470H」の電装室にも入るはずです。

候補になるのは、以下の「RENOGY」製、「LiTime」製のリチウムイオンサブバッテリーです。

充電パラメーターの差分に注意

「POWERSONIC PS-121000」をリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)のサブバッテリーに置き換える作業は、サブバッテリーの「+/-」の電極のケーブルを繋ぎ変えるだけなので、難易度は、それほど高くありません。

ただし、鉛バッテリーとリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーの充電パラメーターには、以下のようなものがあり、バッテリーの種類やメーカーによって値が異なります。

  • バルク充電電流(定電流充電電流)
  • アブソーブ充電電圧(定電圧充電電圧)
  • フローティング充電電圧

上記の充電パラメーターのことを理解しないで、安易に鉛バッテリーをリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換えるのは要注意です。

充電電流が、鉛バッテリーよりも増えることで、「ディストロボックス」の保護回路が働いたり、ヒューズが切れたりする可能性もあります。

また、一見正常に充電できているように見えても、満充電にならなかったり、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーの性能を十分に発揮できない可能性もあります。

「ディストロボックス」の働き

上記のサブバッテリーの充電パラメーターを確認する上でも、トイファクトリーさんの電装システムを考える上でも、「ディストロボックス」は避けて通れません。
まずは、この「ディストロボックス」がどのような働きをしているのか調べてみました。

先にも説明したように「ディストロボックス」は、トイファクトリーさんの呼称です。
「CBE社」の標準的な英語の名称は「Distribution Box」と言うようで、直訳すると「配電ボックス」といった意味でしょうか。最新の型番は「DS300」です。
ネット上に「DS300」のマニュアル(全ページではなく一部のページを抜粋したもの)もありました。

ただし、トイファクトリーさんが採用している「ディストロボックス」が、一般に販売されている「DS300」と同じ仕様のものかどうかはわかりません。
とは言うものの、まずは、「DS300」のマニュアルを手掛かりに、「ディストロボックス」の働きを見ていくことにします

このマニュアルの7ページと8ページ(ページ番号は1415)を見ると、「DS300」は、

  • コントロールパネル(トイファクトリーさんの呼称は「オールインフォメーションボード」)
  • 室内灯
  • ウォーターポンプ
  • FFヒーター
  • 冷蔵庫
  • ソーラー充電器
  • サブバッテリー

などの電装品を接続するためのコネクターやヒューズがワンパッケージに収まったボックスです。

マニュアルの10ページ(ページ番号は33)の下図を見ると、電装システムの全体像がわかります。
また、サブバッテリー(B2)の+端子側には、50Aヒューズが入っています。

さらに、ネット上で「DS300」の内部基板の画像を見つけました。

上の画像の右下の「B1+」端子は、メインバッテリーの+端子に接続します。
また、その隣の「B2+」端子は、サブバッテリーの+端子に接続します。
「B1+」端子と「B2+」端子の間にある、赤の四角枠で囲んだ部品はリレーです。

この画像から、「DS300」の機能を以下のように推測しました。

  • サブバッテリーは、「B1+」端子と「B2+」端子の間にあるリレーを介して、メインバッテリーと接続される。
  • エンジンキーがオフのときは、このリレーを切り、メインバッテリーとサブバッテリーの間で電流が流れないようにする。
  • サブバッテリーの電圧を監視し、一定以上の電圧になったらリレーを切り、サブバッテリーが過充電状態にならないようにする。

ここまでの情報で、オルタネーター、メインバッテリー、「ディストロボックス」、50Aヒューズ、サブバッテリー、インバーターは、下図のように接続されていると考えられます。

※ 画像の電装設備は「TOY'S BOX 470H」で実際に採用されているものとは異なります。

つまり、「DS300」≒「ディストロボックス」は、一般的なアイソレーター(走行充電器)ではなく、メインバッテリーの+端子とサブバッテリーの+端子の接続をオン/オフするスイッチです。
結果、走行中でリレーがオンのとき、サブバッテリーは、メインバッテリーの充電電圧 ≒ オルタネーターの出力電圧12.2V~14.8Vで充電されることになります。
言い換えると、「ディストロボックス」は、リレーをオンすることで、オルタネーターの出力でメインバッテリーとサブバッテリーを同時充電できるように並列の充電電流経路を提供しているだけになります。

ハイエースのオルタネーターは、130A程度の電流を出力できる発電能力がありますが、常に最大の出力で発電をしているわけではありません。
ハイエースを含めて多くの車種では、燃費を少しでも下げるために、スマートオルタネーターが採用されています。スマートオルタネーター制御では、

  • メインバッテリーの電圧を監視
  • オルタネーターからメインバッテリーに流れる電流を監視

して、過剰な発電を抑えることで、エンジンに対する負荷を低減します。
結果、オルタネーターの出力電流は、メインバッテリーの電圧やエンジンの回転数などに応じて刻々と変化します。平均すると50A程度の出力電流が流れるようです。

従って、メインバッテリーとサブバッテリーの充電電流は、合計で50A程度になります。
メインバッテリーが満充電状態で、オルタネーターの出力電流が全てサブバッテリー側に流れても、その平均電流は50A程度になります。

ここで、「B1+」端子と「B2+」端子の間にあるリレーの表面のシルク印刷を見ると、「70A14VDC」と書かれています。
このリレーには、最大70Aの電流を流すことができますが、サブバッテリーに流れる平均電流は、多くても50A程度なので、おそらく問題ないでしょう。

「ディストロボックス」とサブバッテリー+端子の間の50Aヒューズ

「ディストロボックス」とサブバッテリーの+端子の間には、50Aのヒューズが入っています。
サブバッテリーに流れる最大電流は、サブバッテリーによって異なります。
なので、サブバッテリーに流れる充電電流が50Aを大きく超えると、このヒューズが切れる可能性もあります。

トイファクトリーさんからは、

「サブバッテリーの仕様上、流せる充電電流は30Aまで」

と聞きました。
標準のサブバッテリー「POWERSONIC PS-121000」の場合、充電電流(50Aヒューズに流れる電流)は30A程度になり、ヒューズが切れない設計になっていると思われます。

鉛バッテリーに比べ、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーは、充電電流/放電電流を増やすことができます。
走行時にサブバッテリーを充電する場合、充電電流を増やすことができれば、充電時間を短縮することができるので、この点は、リチウムイオンバッテリーの大きな優位点です。

一方、標準のサブバッテリー「POWERSONIC PS-121000」をリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換えた場合、「ディストロボックス」からサブバッテリーの+端子の経路の電流が、50Aを超えていないかしっかり確認する必要があります。

オルタネーターからサブバッテリーまでの配線ケーブルの許容電流

もう一つ注意すべきことがあります。
それは、オルタネーターからサブバッテリーまでの配線ケーブルの許容電流です。

先の「50Aヒューズ」でも説明したように、鉛バッテリーをリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換えて充電電流が増えた場合、

オルタネーター → メインバッテリー → 「ディストロボックス」 → 50Aヒューズ → サブバッテリー

に流れる電流が増えるということです。

この一連の経路の電流が、それぞれの電装部品を接続している配線ケーブルの許容電流を超えると発熱し、最悪、発火します。

オルタネーターの出力電流は、平均50A程度になるはずなので、配線ケーブルの許容電流を大きく超えることはないと考えますが、必ず、使われているケーブルの許容電流の確認が必要です。

リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換える案のまとめ

推測も含めて、ここまで考察してきた「ディストロボックス」の充電機能を基に、「POWERSONIC PS-121000」をリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換え可能か考えます。

充電電圧

オルタネーターの出力電圧12.2V~14.8Vで充電可能か?

Renogy 12V 100Ah LiFePO4リチウムイオンバッテリーの充電電圧スペックは、
 14.4V
LiTime 12V 100Ahヒーター付 LiFePO4リチウムバッテリーの充電電圧スペックは、
 14.4V±0.2V

オルタネーターの電圧が、14.4Vを下回るタイミングでは充電できない可能性があり、結果、満充電できなかったり、充電時間が長くなったりする可能性があります。

やはり、この充電電圧(サブバッテリーの「+」端子の電圧)が一番のポイントです。
充電電圧が常時14.4Vを下回っている場合、リチウムイオンバッテリーの充電はできません。
キャンピングカーが納車されたら、サブバッテリーの「+」端子を外し、50Aヒューズのサブバッテリー側の電圧を測定してみます。

逆に、オルタネーターの出力電圧がリチウムイオンバッテリーの充電電圧の上限を超えた場合は、リチウムイオンバッテリーのBMS(バッテリーマネジメントシステム)が充電をオフするので、安全性は担保されるはずです(BMSの品質や信頼性が十分に高い場合)。

過充電保護電圧

サブバッテリーの電圧が何V以上になると「ディストロボックス」がリレーをオフするか不明です。
ただし、「POWERSONIC PS-121000」のアブソーブ充電電圧(定電圧充電電圧)は、14.1V~14.7Vなので、14.7V以下の電圧で過充電保護電圧を検知し、リレーをオフすることはないと考えられます。
Renogy、LiTimeとも、充電電圧は14.4Vなので、この電圧より低い電圧で過充電保護が働いてリレーがオフになることは無さそうです。

充電電流

充電電流は、スマートオルタネーター制御により、平均50A程度に制限されています。

Renogy 12V 100Ah LiFePO4リチウムイオンバッテリーの最大連続充電電流スペックは、
 100A
LiTime 12V 100Ahヒーター付 LiFePO4リチウムバッテリーの推奨充電電流スペックは、
 20A

Renogyの100AとLiTimeの20Aの数字だけ見ると、Renogyのスペックの方が高いように見えます。
しかし、Renogyは最大充電電流の値、LiTimeは標準の推奨充電電流の値を記載しているので、両者の性能差はほとんどないと考えて良いと思います。
平均的な充電電流50Aは、LiTimeの推奨充電電流スペックの20Aを超えてしまいますが、以下のとおり、充電電流の上限目安1Cに対し十分小さいので問題ないと判断します。
 充電電流:50A / 電流容量:100Ah = 0.5C < 1C

RenogyもLiTimeも、最大充電電流の目安1C = 100Aで考えると、もう少し充電電流を増やして、充電時間を短縮したいところですが、オルタネーターの出力電流が平均50A程度に制限されているのは残念なところです。
一方、充電電流が平均50A程度に制限されることで、ヒューズ切れや配線ケーブルの許容電流オーバーのリスクが減るので、この辺りの電流がいいバランス点かもしれません。

放電下限電圧

サブバッテリーの電圧が何V以下になると「ディストロボックス」が放電を停止するか不明です。
この放電下限電圧が高いと、リチウムイオンバッテリーに充電した電力が使い切れない可能性があります。

下図の「POWERSONIC PS-121000」の放電特性から見て、放電下限電圧は、10V程度に設定されているのではないかと推測します。
また、放電する電力が大きいと、放電電圧が急激に10Vまで下がってしまいます。
100Ahの鉛バッテリーでも、実際に使える電流容量は、半分の50Ah程度と言われるのは、この放電特性に寄るものです。

リチウムイオンバッテリーは、放電電力が大きくなっても、放電時の電圧は、鉛バッテリーのように急激に下がりません。
なので、同じ100Ahのリチウムイオンバッテリーの場合、80Ah~90Ah程度まで使い切れることになり、実際に使える電力が鉛バッテリーの2倍近くになります。

配線の許容電流

オルタネーターの出力電流が平均50A程度に制限されているので、許容電流50A以上の配線が使われているかがポイントです。
(配線の許容電流は、キャンピングカーやオプションごとに異なるので、個別に確認が必要。)

リチウムイオンバッテリーに最適な充電制御

リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)のサブバッテリー側には、BMS(バッテリーマネジメントシステム)が搭載されている場合が多く、バッテリーが危険な状態になることを回避してくれるはずです(BMSの品質や信頼性が十分に高い場合)。
なので、「ディストロボックス」にリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリを直接接続して充放電しても、火災など安全面のリスクは少ないと考えられます。

また、オルタネーターの出力電圧が十分に高いときは、このBMS(バッテリーマネジメントシステム)が、

  • バルク充電電流(定電流充電電流)
  • アブソーブ充電電圧(定電圧充電電圧)
  • フローティング充電電圧

の充電パラメーターを制御してくれるので、「ディストロボックス」がメインバッテリーとサブバッテリーの同時充電経路を提供するだけだとしても、リチウムイオンバッテリーに対して、より適した充電が行われるはずです。

一方、オルタネーターの出力電圧が低い場合は、満充電できなかったり、充電時間が長くなる可能性があり、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリの性能を最大限に引き出せない可能性もあります。

とは言うものの、鉛バッテリーをリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換える案は、

  • 同じ電流容量(例えば100Ah)であっても、実際に使える電力が2倍近くに増える。
  • 放電電流が増やせるので、1,500Wインバーターの能力を最大限生かせる。
  • 充電電流が50A程度に制限されているものの、鉛バッテリーに比べて充電時間を短縮できる可能性がある。
  • この後で説明するポータブルバッテリーよりもコストパフォーマンスが良い。

など、メリットも多く、是非とも検討したい案です。

リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換え可能か?の結論

既存の電装設備を十分に確認してから、置き換えを検討すること!
特に充電電流が、ヒューズの定格や配線ケーブルの許容電流を超えていないか、しっかり確認すること!

次の確認ポイントは、充電電圧がリチウムイオンバッテリーを十分に充電可能な電圧(14.4V)より高いかどうか?
 → 充電電圧が14.4V以下になることもあるので、おそらく満充電(100%充電)はできない。
 → リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーの性能を最大限引き出せないかも?

とは言え、鉛バッテリーに対して、実際に使える電力が2倍近くに増え、充放電電流を大きくできるメリットがある。

トータルで考えると、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーへの置き換えは、トライする価値あり!

ポータブルバッテリーを使う案

そもそも、「TOY'S BOX 470H」の標準サブバッテリーの電流容量は、100Ahです。
電圧12Vで計算すると、

100Ah × 12V = 1,200Wh = 1,200W × 1時間

の電力容量になります。

計算上は、1,200Wの家電が1時間使えます。
しかし、鉛バッテリーの場合、1,200Wの電力(100Aの電流)を取り出すと急激に電圧が下がり、かつ、10V近くまで電圧が下がると電力を取り出せなくなるので、実際は、20分から30分程度しか使えないと思います。

リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーの場合、1,200Wの電力(100Aの電流)を取り出しても、鉛バッテリーほど電圧が急激に下がることはありません。
なので、鉛バッテリーに比べて、取り出せる電力量が増え、1,200Wの家電を50分くらい稼働させられる可能性があります。

とは言え、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)のサブバッテリーに置き換えても、100Ahの電流容量(1,200Whの電力容量)は、少し貧弱です。

一回り大きい200Ahの電流容量のリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーもありますが、サイズが大きくなり、「TOY'S BOX 470H」の電装室には入りません。

「EcoFlow DELTA 2 Max」はどうか?

どうせ電装室に収まらないのであれば、2,000Whクラスのポータブル電源を使うのはどうでしょうか?

私が候補に挙げたのは、以下の「EcoFlow DELTA 2 Max」です。

「EcoFlow DELTA 2 Max」の特徴を挙げます。

  • リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーを採用
  • 電力容量 2,048Wh
  • 定格出力 2,000W(最大出力 2,400W)
  • 最大充電電力 1,500W(AC100Vコンセントに接続した場合)
  • 重量 約23Kg
  • サイズ 49.7 × 24.2 × 30.5 cm
  • 「EcoFlow Alternator Charger」で急速走行充電が可能(最大800W)

一番の注目ポイントはAC100Vコンセントから充電する場合の最大充電電力

上に挙げた特徴のうち、私が一番注目したポイントは、AC100Vコンセントから順電する場合の最大充電電力です。

「最大充電電力 1,500W」とありますが、YouTubeにアップされている実際の充電時の動画を見ても、1,300Wくらいで充電しています。

満充電に近づくと、徐々に充電電力は下がっていくので、単純に充電時間を計算することはできませんが、「EcoFlow DELTA 2 Max」のページでは、

  • AC充電 80%まで84分
  • AC充電 100%まで101分

と書かれています。

走行充電の時間は?

家庭のAC100Vコンセントに繋いだ場合は、上記の時間で充電できます。

ただし、私は、キャンピングカーで旅をする途中で充電したいわけです。

「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」の番組のように、見ず知らずのお宅に行って、ポータブルバッテリーを充電させてもらうわけにはいきません。

やばいよ、やばいよ

そこで、走行時の充電時間について考えることにします。

私は、「TOY'S BOX 470H」のオプションで、1,500Wインバーターを選択しました。
なので、この1,500Wインバーターの出力のACコンセントからAC充電をすれば、家庭のAC100Vコンセントに繋いだ場合と同等の充電時間が達成できるかもしれません。

つまり、この充電時間が達成できれば、「2時間ほど車を走らせれば、ほぼ満充電にできる」ということです。

インバーターから1,500Wの急速充電ができるのか?

「EcoFlow DELTA 2 Max」をAC100Vコンセントから充電した場合、最大充電電力は1,500Wです。

では、実際に、「TOY'S BOX 470H」の1,500WインバーターのAC100コンセントから「EcoFlow DELTA 2 Max」に1,500Wの急速充電ができるのでしょうか?

結論を先に言うと、スマートオルタネーター制御により、オルタネーターの平均的な出力電流が50A程度に制限されているので、1,500Wの急速充電は無理です。

オルタネーターの出力電圧が、最大の14.8Vの場合でも、平均すると 14.8V × 50A = 740W 程度の充電電力になります。

以下「amak vanlife」さんのブログで、「EcoFlow DELTA 2 Max」の走行充電を試された記事を見つけました。

「amak vanlife」さんのキャンピングカーは、トイファクトリー「GT」なので「TOY'S BOX 470H」とは異なりますが、同じ「ディストロボックス」を経由しての充電と思います。
「EcoFlow DELTA 2 Max」の充電可能電力を800Wに設定した場合、充電電力は783Wと表示されていて、おおよそ、この辺りが限界なのではと推測します。

「EcoFlow Alternator Charger」を使って充電する場合

2024年6月3日に発表になった「EcoFlow Alternator Charger」を使った充電はどうでしょうか?
下図のように、「TOY'S BOX 470H」のサブバッテリーシステムとは独立して、「EcoFlow Alternator Charger」「EcoFlow DELTA 2 Max」を接続します。

以下の記事でも書いたように、「EcoFlow Alternator Charger」の最大充電電力800Wに近い充電電力で充電できそうです。

これは、先に計算した平均充電電力 14.8V × 50A = 740W とも合致しています。

「EcoFlow DELTA 2 Max」案のまとめ

スマートオルタネーター制御によるオルタネーターの出力電流制限によって、

  • 「TOY'S BOX 470H」の1,500WインバーターのAC100コンセント経由
  • 「EcoFlow Alternator Charger」経由

のどちらの場合も走行充電の平均充電電力が740W程度に制限されるとしたら、どちらが良いのでしょうか?

「TOY'S BOX 470H」の1,500Wインバーターを使う場合は、追加の費用は発生しません。
しかし、1,500Wインバーターと「EcoFlow DELTA 2 Max」内部のインバーターで、

 DC12V → AC100V → DC12V

のDC/AC変換をする必要があり、変換ロスが多そうです。

「EcoFlow Alternator Charger」を使う場合も、

 DC12V → DC40V → DC12

のDC/DC変換が行われますが、こちらの方が変換ロスが小さそうです。

「EcoFlow Alternator Charger」の場合、追加費用が発生しますが、変換効率を考えて「EcoFlow Alternator Charger」の方法を選択することにします。

まとめ

「TOY'S BOX 470H」の標準サブバッテリーは、鉛バッテリーです。
このサブバッテリーの環境を強化するために、

  • 鉛サブバッテリーをリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換える。
  • 「EcoFlow DELTA 2 Max」を導入して、利用可能な電力量を増やすと同時に「EcoFlow Alternator Charger」で急速走行充電する。

2つの案を考えました。

「EcoFlow DELTA 2 Max」「EcoFlow Alternator Charger」の案は、追加の費用がかかるものの、

  • 利用可能な電気容量が約4倍の 650Wh + 2,048Wh = 2,698Wh に増える。
    標準のサブバッテリー(鉛バッテリー)だけの場合は、13V × 100Ah × 50% = 650Wh。
    (鉛バッテリーで実際に使える電気容量を半分の50%と想定)
  • 最大800Wで急速走行充電ができる。
  • ポータブルバッテリーは、その名前のとおりどこにでも持ち運びできる利便性がある。
  • 「TOY'S BOX 470H」のサブバッテリーシステムを変更するリスクがない。

といったメリットもあり、こちらの案で進めることにしました。

「TOY'S BOX 470H」が納車されたら、まずは、「EcoFlow DELTA 2 Max」と「EcoFlow Alternator Charger」でサブバッテリーシステムを補強します。
標準のサブバッテリー(鉛バッテリー)の交換時期が来たら、コストパフォーマンスの良い、リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換える案を検討したいと思います。

冒頭に書いたように、私の場合は、以下の順序でリチウムイオンバッテリー化を進めようと思います。

  1. 「EcoFlow DELTA 2 Max」を購入し、使える電気容量を増やす。
    同時に「EcoFlow Alternator Charger」も購入し、「EcoFlow DELTA 2 Max」を高速に走行充電する。
  2. 標準のサブバッテリー(鉛バッテリー)の交換時期が来たら、自己責任でリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーに置き換える。

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