はじめに
DiskStation DS116は、速度も十分で、自由度、コストパフォーマンスの高いNAS(ネットワーク接続ストレージ)です。
ハードウェアのセッティングやソフトウェアのインストール方法と合わせて、DS116を紹介します。
Synology DiskStation DS116
Synologyは、2000年に台湾の台北市に設立されたデータストレージ関連の会社です。
DiskStation DS116は、このSynologyが2016年5月に発売した、最新(2016年6月24日時点)のNASサーバーです。
NASサーバーは、家庭やオフィスの中のネットワーク(LAN:ローカル・エリア・ネットワーク)に接続し、様々なデータを保存管理するためのドライブです。
通常の外付けハードディスクドライブと異なり、このDS116は、WEBブラウザを介して、いろいろな機能を実現できます。
単なるメディアドライブと言うより、ちょっとしたコンピューターと思った方がいいです。
“データ ストレージを超えたプライベート クラウド”
のセールストークのとおり、良くできたNASです。
詳しくは、DS116の紹介サイトを見てください。
DS116に決めた理由
数年前から、すでに、
- Corega CG-NSC2100GT
- BUFFALO LS-X20TLJ
といった、いくつかのNASは使っていました。
でも、
- LANの環境で使っていても遅い(数年前の製品なので仕方がないことですが)。
- いろいろなプロトコルが使えない。
- 外出先からアクセスするのが面倒。
といった不満があり、そろそろ新しいNASを導入しようと思っていました。
以前から気になっていたSynologyのDiskStationシリーズも含め、いろいろ調べたところ、私のニーズに一番マッチしていたのが、今回、導入したDS116です。
このDS116に決めたのは、以下の理由からです。
- デュアルコア 1.8 GHzのMarvell CPUを採用していて速い。
(実際使ってみて、速度は全く申し分ありません) - HTTPS、WebDAV、FTP/FTPSなど、希望のプロトコルが使える。
- WindowsやMac、iPhone/iPadやAndoroid用のアプリが各種リリースされていて、外出先からでもいろいろなデバイスから簡単にNASにアクセスできる。
- パソコン、スマートフォン、Googleドライブなどのクラウド、2台目以降のDiskStationシリーズなど、いろいろなデバイス間でファイルのバックアップや同期が簡単にできる。
- デザインが良い。
特にWebDAVのプロトコルが使えると、外出先のWindowsのPCから、ローカルドライブのファイルやフォルダと同様に、エクスプローラーやいつも使っているユーティリティーソフトウェアでアクセスできます。
2台のDS116で個人コンテンツも安心
デバイスを選ばず、ファイルの同期が取れるのは嬉しいです。
私は、実家の大阪と単身赴任先の東京に、それぞれ1台づつDS116を設置し、必要なフォルダやファイルを同期させています。
これで、家族の写真や撮りためたビデオなど、失いたくない個人コンテンツは、まず、安心です。
本当は、価格や容量を気にせず使えるクラウドストレージサービスがあれば、そちらを使いたかったのですが、いろいろ調べた結果、数TBの容量があり、価格も1,000円/月程度のリーズナブルなサービスは見つかりませんでした。
10年以上前、家族の写真を保存していた外付けハードディスクドライブがクラッシュし、データ復旧に20万円ほど使ったことがある私にとっては、データを安心して保存・管理できる環境は、とても魅力的です。
DS116のセッティング
DS116のセッティングは、とても簡単です。
以下の手順でドライブを装着し、ACアダプターとネットワークケーブルを接続します。
DS116本体の他、ACアダプター、ネットワークケーブル、ネジ類など、必要なモノが同梱されています。
筐体はプラスチック製ですが、デザインがいいです。
後で説明するソフトウェアのクオリティーだけでなく、製品のデザインも、もはや日本メーカーは抜き去られてしまいました。
本体上部の割線に沿って、本体の左右をスライドさせて開けます。
電源やCPUなどの基板類は、鉄製のフレームの下に隠れて見えません。
シンプルな構造で、良くできていると思います。
東芝 MD04ACA600を装着する
DS116は、16TBまでのシリアルATAインターフェースの3.5インチ/ハードディスクドライブを1ドライブ装着できます。
もちろん、2.5インチのハードディスクドライブやSSDにも対応していますが、2.5インチのドライブを装着するときは、ディスクホルダーが必要です。
私は、以前から、常時運転するハードディスクドライブには、IBM製のドライブを使ってきました。IBMからHGST(日立)に事業が売却されてからもHGSTを使っていたのですが、今回は、価格面で東芝の6TBモデルMD04ACA600を選択しました。
ハードディスクドライブのコネクタ部をDS116のシリアルATAインターフェースコネクタに差し込み、付属の4本のネジで固定すれば、ドライブの装着は完了です。
ハードディスクドライブの周辺スペースも十分で、ドライブからの熱が逃げやすい設計になっていると思います。
ドライブを装着したら、先ほど外した筐体片面を取付け、背面上下を付属の黒いネジ2本で固定します。
この後、背面パネルにACアダプターとネットワークケーブルを接続します。
ADアダプターとネットワークケーブルを接続したら、正面の電源スイッチを入れ、DS116を起動します。
非常によくできた設計で、ハードウェアのセッティングは、あっという間に完了しました。
ソフトウェアのインストール
ソフトウェアのインストールも、ハードウェアのセッティング同様に簡単です。
まず、DS116と同じLANにつながっているPC(私は、Windows10のPCを使っています)で、WEBブラウザ(Internet ExploreやChromeなど、自分がいつも使っているブラウザ)を起動します。
DS116の検索
WEBブラウザのアドレス入力部に、
"https://find.synology.com/"
と入力します。
しばらく、
"検索中..."
の画面が表示された後、以下の画面が表示されます。
DiskStation Manager(DSM)のインストール
DS116が見つかったら、まず、DiskStation Manager(DSM)をインストールします。
DiskStation Manager(DSM)は、PCでいうと、Windows10のようなOSみたいなものです。
「DiskStation Manager(DSM)をインストール」画面の「今すぐインストール」ボタンを押します。
データが削除されても問題なければ、チェックボックスにチェックを入れ、「OK」ボタンを押します。
DiskStation Managerのインストールが始まります。
インジケータが100%になると、DiskStation Managerのインストールは完了です。
管理者アカウントの作成
次に、管理者アカウントを作成します。
DiskStation Managerのインストールが完了すると、DS116が自動的に再起動します。
DS116が再起動すると、「管理者アカウントを作成」画面が表示されます。
この画面で、
- サーバー名(今回導入したDS116を識別します)
- ユーザー名(ここで入力したユーザーは、管理者になります)
- パスワード
を指定した後、「find.synology.comを介してアクセス」のチェックボックスをチェックし、「次へ」ボタンを押します。
「おめでとうございます!」の画面が表示されたら、管理者アカウントは正常に設定されています。
DSM アップデートとメンテナンス
次に、DiskStation Manager(DSM)のアップデートの設定とS.M.A.R.T.テストの設定を行います。
まず、最新のDiskStation Manager(DSM)バージョンを自動的にインストールする曜日と時刻を入力します。
その後、ハードディスクの健康状態を定期的に調べるため、「S.M.A.R.T.テストを実行する」のチェックボックスをチェックし、「次へ」ボタンを押します。
QuickConnectの設定
次に、QuickConnectの設定を行います。
QuickConnectを使うと、インターネットの接続口であるブロードバンドルータのポートを開放する(情報やデータの出入り口を設定すること)ことなく、外出先からDS116にアクセスできるようになります。
外出先からDS116にアクセスできるということは、自宅やオフィスのLANに外部からアクセスできるということです。
もちろん、外部からアクセスするには、パスワード認証などのプロセスが必要なので、LANが丸裸になるわけではありませんが、悪意を持った外部アクセス者に対するリスクは増えます。
外部アクセスを有効にするには、このリスクが多少なりとも高まることを理解しておく必要があります。
QuickConnectを利用するには、まず、Synologyのアカウントを作る必要があります。
- メールアドレス(既に、自分が使っているアドレス)
- パスワード
を入力します。
ここで入力したメールアドレスが、Synologyのアカウントになります。
次に、
- QuickConnect ID
を入力します。
ここで入力したQuickConnect IDを「ABCDEF」とすると、外部からは、
"https://QuickConnect.to/ABCDEF"
というURLでDS116にアクセスできるようになります。
Synology推奨パッケージのインストール
最後に、Synologyが推奨するパッケージをインストールします。
パッケージとは、スマートフォンで言うアプリのことです。
インストールしたパッケージは、最初にインストールしたDiskStation Managerの上で動作し、いろいろな機能をアドオンします。
「Synology推奨パッケージのインストール」画面で、「インストール」ボタンを押します。
使用規約を読み、内容に同意したら、「同意する」のチェックボックスをチェックし、「OK」ボタンを押します。
しばらく待って、「このパッケージはインストールされています。」のダイアログが表示されたら、パッケージのインストールは完了です。
「すべての設定が完了しました!」画面が表示されたら、「移動」ボタンを押して、DiskStation Manager(DSM)のクイックガイドツアーに進みます。
DiskStation Manager(DSM)のクイックガイドツアー
ログイン毎に「DSMヘルプ」を起動する場合はそのまま、毎回起動したくない場合はチェックボックスをチェックして、「OK」ボタンを押します。
初回は、何を調べたら良いかもわからないので、「DSMヘルプ」ウィンドウの右上の「×」を押して、ウインドウを閉じます。
「DSMヘルプ」のウインドウを閉じると、DiskStation Manager(DSM)の簡単な使い方を示すTips(吹き出し)が表示されます。
表示されたTipsをクリックすると、次のTipsが表示されます。
最後のTipsをクリックしたら、Tipsは消え、DiskStation Manager(DSM)が使えるようになります。
DiskStation Manager(DSM)のアップデート
DiskStation Manager(DSM)が使えるようになったら、まず、最初にDiskStation Manager(DSM)のアップデートを行います。
「コントロール パネル」のアイコンの右下には、赤い丸の中に数字の「1」が表示されています。
これは、何らかのアップデートが必要であることを示しています。
アップデートを実行するために、「コントロール パネル」のアイコンをクリックします。
「コントロール パネル」ウインドウの中の「更新と復元」アイコンの右下に、赤い丸と数字の「1」が表示されています。
「更新と復元」アイコンをクリックします。
「ダウンロード」ボタンを押して、最新のバージョンのDiskStation Manager(DSM)をダウンロードします。
最新バージョンのDiskStation Manager(DSM)をダウンロードしたら、「今すぐアップデートする」ボタンを押して、アップデートを開始します。
DiskStation Manager(DSM)をアップデートするために「OK」ボタンを押します。
DiskStation Manager(DSM)のアップデートが開始します。
インジケータが100%になり、アップデートが完了したら、「OK」ボタンを押して、画面を更新します。
更新された画面の「コントロール パネル」アイコンには、先ほどの赤い丸と数字の表示がなくなり、アップデートが完了したことがわかります。
これで、最低限のソフトウェアのインストールとアップデートが完了しました。
あとは、使いたいパッケージの初期設定などを行い、順次、機能アップしていきます。
使い方は、「DSMヘルプ」で調べることができます。
まとめ
SynologyのDiskStation DS116の立ち上げ方を説明しました。
- 外出先からのWebDAVプロトコルを使ったファイルのアクセス
- 大阪と東京のDS116の同期
- Windows PCのフォルダのバックアップ
など、やりたかったことは全てできています。
自宅のLANで使っている場合は、USB接続の外部ハードディスクドライブと同じくらいの速度が出ています。
また、外出先からアクセスしたときの速度は、DS116の処理速度がボトルネックになっているのではなく、インターネット回線の速度に依存します。
我が家では、以下の記事で紹介したNURO光を使っているので、十分にスループット出るネット環境からであれば、かなり快適に使えています。
SynologyのDiskStation DS116、なかなか良くできていますよ。
“データ ストレージを超えたプライベート クラウド”
のセールストークは、私の実感とも合っています。
個人用途のNASであれば、DS116は、かなりお薦めです。
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