小論文の練習方法
小論文の書き方や練習方法に関する書籍は、たくさん出版されているので、すでに、そういう本を読まれている方は、そちらを参考にしてください。
息子の大学受験に対し、親である私がサポートしたことは、「志望理由書」と小論文の添削、面接試験の事前練習です。
特に、小論文の添削については、10月21日~11月24日の1か月間、集中的にやりました。
(私は単身赴任中だったので、LINEの写真とメッセージで添削のやりとりをしていました。)
この集中添削の経験も踏まえて、私なりに小論文の練習方法をまとめました。
参考になることがあれば、うまく活用してください。
① 小論文を書く前の「下準備」をしておく
まずは、小論文を書く前の「下準備」が大切です。
「下準備」もなく、いきなり小論文の練習をするのは、キャッチボールや素振り、走り込みといった事前練習をすることもなく、野球の試合に出場するようなものです。
「下準備」とは、
- 「食料・農業・農村白書」や新聞、雑誌、ニュースなどから、小論文に盛り込む素材や情報を集めておく。
- 小論文の問題に提示される表やグラフの読み解き方を身に着けておく。
ことを指します。
このことは、以下の記事に書きましたので、そちらを参照してください。
② テーマを選んで毎日書く
まずは、自分で小論文のテーマを選んで、1日1件、毎日書くことです。
小論文のテーマは、何でも構いませんが、自分が進学を希望する大学やそれと同類の大学の過去問題が良いと思います。
自分の高校の進路相談室に行けば、先輩から受け継がれた過去問題が残っていると思います。
また、問い合わせれば、過去問題を送ってもらえる大学もあるようです。
このとき、以下のことを守ります。
そのために、事前に自分がめざす大学の試験要項をよく調べて、確認しておきましょう。
- 小論文を書く時間は、本番の時間に合わせる。
⇒ O大学の場合、「90分間」でした。
⇒ 休日には、本番と同じ時間帯(開始時刻/終了時刻)での練習もやってみるといいです。 - 文字数は、本番の試験要項に合わせる。
⇒ 文字数によって難易度が変わるためです。
⇒ O大学の場合、「1,000文字」でした。 - 必ず原稿用紙に書く。
⇒ 100円ショップのダイソーにも売っています。 - 本番に近い環境(机や椅子、周囲の明るさや騒音)をイメージして練習する。
⇒ オープンキャンパスに行っていれば、キャンパスや校舎のイメージもできますね。
⇒ 部屋のTVや音楽は消しておきます。
これを毎日、10日間続けてみましょう。
この時点での目的は、
とにかく「習うより、慣れろ!」
です。
毎日書くことによって、以下のメリットがあります。
- 自分の希望する大学の小論文テーマの傾向がわかる。
- 自分の苦手な小論文のテーマや傾向がわかる。
- 小論文のテーマに対して、自分がどれだけの文字数をどれくらいの時間で書くことができるのか、事実や感覚としてわかる。
- 本番の試験時刻で練習しておくと、その時間帯の自分のコンディションが事前にわかる。
- 本番に近い環境をイメージしそれに慣れることで、実際の試験で余計なストレスを感じにくくする。
なので、この時点での論文の完成度は、気にする必要はありません。
大切なことは、小論文のテーマの傾向と自分自身の実力やパターンを「事実」として把握することです。
③ 自分のパターンを分析し作戦を立てる
②の毎日の練習を10日間もやれば、自分のパターンは自ずと見えてきます。
私が思いつくパターンとしては、大きく以下の3つでしょうか。
3つ全てに当てはまる人もいるかもしれません。
- 苦手な小論文テーマがある。
- 時間が足りない。
- 既定の文字数が埋まらない。もしくは、文字数をオーバーする。
それぞれの対策方法です。
1.苦手な小論文テーマがある。
これは、まさしく、①の「下準備」の不足です。
自分の苦手な諸論文のテーマや傾向がわかったら、①に戻って、地道に「下準備」をするしかありません。
息子の場合、この「下準備」は、本人が十二分に仕上げておいてくれたので、私は、全く困ることなく、以下の対策のアドバイスに注力できました。
2.時間が足りない。
時間が足りなくなるのは、事前に時間配分を決めていないことが原因です。
これからは、以下の記事を参考に、自分に合う時間配分を事前に決めて、その時間配分を必ず守ることを意識しながら、小論文の練習をしましょう。
すでに、時間内に書き上げることができている人も、もし、時間配分を決めていないとしたら、この際に自分にマッチする時間配分を決めておきましょう。
以下の記事では、それぞれの時間配分の中でやることを実際の小論文の問題を例にまとめました。
上記2つの記事を参考に、時間配分を決め、それぞれの時間配分の中でやることが身に着いたら、時間が足りなくなることはなくなるはずです。
3.既定の文字数が埋まらない。もしくは、文字数をオーバーする。
時間配分を事前に決めておくのと同様、解答用紙(原稿用紙)に清書し始める前に、段落ごとのボリューム(行数)を決めておきましょう。
小論文の設問によっては、
「問題点を600字程度、それに対する自分の意見や提案を400字程度で述べなさい。」
というように、あらかじめボリューム(文字数)が指定される場合もあります。
時間配分のときに、小論文の組み立てを考える時間を設けました。
小論文の組み立てを考えるときには、小論文に盛り込むテーマの数や内容が決まりますから、組み立てを考えるときに、それぞれの段落のボリューム(行数)もその段階で決めます。
ここで決めた段落のボリューム(行数)に沿って、解答用紙(原稿用紙)には、段落の区切り部分に軽く目印を付けます。
小論文の文章を書く際には、この目印を目安に段落ごとに文章量を調整します。
小論文の問題のタイプによって、段落の構成や段落ごとのボリュームは変わりますが、
「○○に対する、あなた自身の考えを1,000字程度で延べよ。」
という問題の場合の段落構成(6段落)とボリューム配分の例を挙げておきます。
ここでは、400字詰め原稿用紙を想定して、20字/1行で考えています。
1,000字の小論文だと、全体で50行になります。
結論や要旨:4行
- 冒頭に、最終的な結論(賛成/反対など)やこれ以降の論旨の展開(結論に到った理由)を言い切っておきます。
実際の事例や問題の提示:8行 × 2件 = 16行
- 自分の意見を示すに先立って、自分の意見につながる実際の事例や問題を取り上げます。
- 取り上げる事例や問題は2件とし、1件は8行のボリュームで記述します。
一般的には、3件が定石ですが、3件を16行に収めるには、1件あたり5行になってしまいます。
これでは、1件当たりのボリュームが少なくなり、記述内容が薄くなるので、1,000字の小論文では、2件が適当だと思います。
自分の意見や考え:11行 × 2件 = 22行
- 先に提示した実際の事例や問題に対応して、自分の意見や考えを主張します。
- 取り上げる事例や問題の件数と同様、主張する意見や案件も2件とし、1件は11行のボリュームで記述します。
まとめや結び:8行
- 小論文全体のまとめや結びを記述します。
実際の文章を書き始めると、事前に決めて目印を付けたボリューム(行数)きっちりにはなりませんが、事前に目安を決めておくことで、文章を書きながらボリュームの増減のコントロールがしやすくなります。
④ 作戦に沿って小論文を書き、結果を振り返る
事前に練習していたものと同じテーマで良いので、③で決めた作戦に沿って、再度、1日1件、毎日、小論文を書きます。
今回は、1件の小論文を書き終えるたびに、結果をじっくり振り返る時間を設けます。
先生や親に、書き上げた小論文を読んでもらって、フィードバックをもらいましょう。
自分は、先生や親かもらったフィードバックをもとに、③の作戦の微調整をします。
自分がより書きやすくなるように、時間配分や段落ボリューム(行数)を見直すわけです。
ここで注意点が3つあります。
以下の点が気になったら、私のアドバイスを参考にしてください。
上手な文章表現にならない
文章力は、今まで、自分がどれだけの本を読んできたかの「読書量」でほぼ決まります。
なので、短期間で文章力や上手な表現力を向上させることは、期待薄です。
ここは、潔くあきらめて、以下の点に注力しましょう。
- 論旨の展開が論理的で矛盾がないか?
- 文章と文章、段落と段落をつなぐ接続詞が正しく使われているか?
- 誤字脱字がないか?
- 丁寧な文字で書かれているか?
何を言っているのかわからない小論文になる
この原因は、以下のどちらかです。
- 「下準備」ができておらず、小論文に盛り込む事例や内容が薄い。
- 小論文の構成や組み立てが下手、もしくは、おかしい。
まずは、先生や親に自分の書いたいくつかの小論文を読んでもらい、どちらの原因に当てはまるか、客観的に判断してもらいましょう。
どちらの原因の場合も、当面、小論文の文章を書くのは止め、原因に応じた対応をします。
- 「下準備」が足りてないのなら、コツコツ勉強をする。
- 小論文の構成や組み立てが下手なのであれば、いろいろなテーマで小論文の「見出し」と段落構成だけを考える練習をする。
出来上がった「見出し」と段落構成を先生や親に説明し、論旨がはっきりしているかフィードバックをもらいましょう。
毎回、下手になっているような気がする
③の作戦に沿って練習をしているのであれば、小論文が下手になるということは、まずありません。
小論文の練習をするたびに下手になっていくような気がするのは、自分の書く小論文のレベルが頭打ちになっているときに起こります。
いわゆる「踊り場」のタイミングです。
このときには、以下の点をチェックし、特に問題がなければ、そのまま練習を続けましょう。
- ③の作戦どおりの対応ができているか?
- 論旨の展開が論理的で矛盾がないか?
この点ができていれば、本番でも合格レベルの小論文がかけるはずです。
小論文で100点満点なんか狙っても、そんな点数とれるわけがありませんから、ここは気持ちを大きく持って、
「70点前後のレベルが取れればいいや。」
くらいに考えましょう。
まとめ
以上、小論文の練習方法を私なりにまとめてみました。
小論文の練習は必要ですが、やり過ぎないこともコツだと思います。
お薦めの書籍
後日、以下の「まんがでわかる 理科系の作文技術」を読みました。
以下の書籍を読む方と,文章を書く上でのポイントがよりしっかり理解できると思います。
ストーリー仕立てのまんがなので読みやすく、2時間かからずに読み通せるので、是非とも、読んでおきたい書籍です。
電子書籍版もあります。
オリジナルの書籍は、以下の「理科系の作文技術(中公新書)」です。
100万部を超える名著です。
こちらも、電子書籍版があります。
「農業高校生のお受験体験記」一覧を見る。
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