神田日勝記念美術館
鹿追町には、何回か足を運んでいますが、神田日勝記念美術館に来るのは初めてです。
神田日勝のことは、よく知りませんでした。
NHKの朝ドラ「なつぞら」に登場する山田天陽のモデルということで、最近、ネットでしばしば名前が出てきます。
神田日勝は、32歳の若さで亡くなっています。
彼の一生については、上記、神田日勝記念美術館のホームページで確認できます。
下の写真は、青年時代の日勝で、隣の馬は、彼の傑作「死馬」のモデルと言われている「若号」です。
農家でもあった彼の体は、一般的な画家のイメージと異なり、筋肉隆々です。
美術館に行く前に、ネットでどんな絵を描く人か調べました。
最初の印象は、「暗い絵を描く人だな」という感じでした。
でも、実際の絵を見て、その印象は一変。
久しぶりに絵を見て、心が揺さぶられました。
「しずくの中の神田日勝」展
私が行ったときには、写真家の浅井美紀さんとのコラボで、「しずくの中の神田日勝」展が開催されていました。
浅井美紀さんの写真はこちら。
浅井美紀さんの写真は好きですが、ちょっと、神田日勝の画風には合わない気がしました。
新井美紀さんの写真よりも、もっと神田日勝の絵を観たかった。
展示されていた絵
神田日勝の主な作品は、ベニヤ板にペインティング・ナイフを用いて描かれています。
ここからは、神田日勝記念美術館が所蔵し、私が実際に観た絵を紹介します。
※ 画像は、ネットに掲載されているものから引用しました。
痩馬
この作品は、帯広・平原社展に初出品・初入賞した「痩馬」という絵です。
東京の練馬から北海道の鹿追に疎開した神田一家が、最初に購入した馬と言われています。
半分、だまされて買った使役後の廃馬だったそうです。
私は、痩せた馬のあばら骨に、日勝の馬に対するいたわりの気持ちを感じます。
自画像
27歳のときに描いた自画像です。
ゴミ箱
捨てられたドラム缶や空き缶、靴などが、モノトーンの色彩で描かれています。
捨てられたモノの質感がすごい。
飯場の風景
先ほどの「ゴミ箱」もそうですが、この絵も奥行きを平面的に描いています。
牛
切り開かれた牛の腹の赤と血管の描写がリアルです。
手前の青いバケツも目を引きます。これから、このバケツに何かを入れていくことが想像できます。
これ以降、日勝の絵に色彩が加わっていくそうです。
画室C
彼の画業は、10数年と短いものでした。
中間期の2年間に描かれた「画室」シリーズは、色彩も鮮やかでポップアートのようです。
家(未完)
神田日勝記念美術館には、日勝のデッサン、自筆のメモや文章が展示されています。
また、上の絵のような未完の作品も観ることができます。
馬(絶筆・未完)
やはり、一番胸を打たれるのが、絶筆となったこの「馬」の絵です。
入院していた新得の病院から、ときどき自宅に戻って描いていた絵だそうです。
馬の後ろ脚の辺りには、ベニヤ板の上に鉛筆で描かれた下書きが見えます。
初期の作品のようにモノトーンに戻っていますが、黒い毛の下には、下地に描いた赤や青、緑などのカラフルな色が見え隠れします。
この絵は、神田日勝記念美術館のロゴになっています。
北海道立近代美術館に所蔵されている絵
別の美術館にも、日勝の傑作が所蔵されています。
以下、北海道立近代美術館に所蔵されている彼の作品も、機会があればぜひ観てみたいです。
日勝は、「農民画家」と呼ばれることを嫌い、「画家である、農家である」と区別していたそうです。
以下の作品からは、日勝がただ単に、普段の生活の一部を切り取って絵にしていただけの画家ではなく、創作や表現を独自に追及していた芸術家だったことが伝わってきます。
死馬
壁と顔
室内風景
まとめ
ふらっと立ち寄った神田日勝記念美術館でしたが、本物の絵の迫力を改めて感じることができました。
美術館で本物の絵を見るのとネットで見るのは、全然違う感覚です。
神田日勝の絵のメッセージを感じるためにも、是非、足を運んでほしい美術館です。
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